犬の震え、その原因と緊急性の判断方法|飼い主が知るべき知識

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犬の震え、その原因と緊急性の判断方法|飼い主が知るべき知識

愛犬が突然震え始めると、「もしかしてどこか悪いのでは?」と不安になりますよね。犬の震えは、さまざまな原因によって引き起こされます。単なる感情表現であることもあれば、重大な病気のサインであることもあります。この記事では、犬が震える考えられるあらゆる原因を深く掘り下げ、それぞれの状況で飼い主さんがどのように緊急性を判断し、適切に対処すべきかを詳しく解説します。大切な愛犬の異変に気づき、適切な行動を取るために、ぜひこの記事を読んで知識を深めておきましょう。

犬が震えるのはなぜ?考えられる主な原因

犬の震えは、生理的なものから病的なものまで多岐にわたります。まずは、考えられる主な原因を一つずつ見ていきましょう。

1. 生理的な震え(心配の少ない震え)

これらの震えは、多くの場合、一時的なものであり、それ自体が健康上の問題を示すものではありません。

  • 寒さ: 人間と同じように、犬も寒いと感じると体温を上げようとして震えます。特に小型犬や短毛種、老犬は寒さに弱いです。
  • 興奮・喜び: 大好きな飼い主が帰ってきた時、遊びの時間になった時など、喜びや興奮の感情が高まると震えることがあります。尻尾を振っていたり、嬉しそうにしている場合は心配ありません。
  • 恐怖・不安・緊張: 雷の音、花火、慣れない場所、見知らぬ人との対面、動物病院など、犬が強いストレスや恐怖を感じると震えることがあります。体全体を小さく見せようとする姿勢(耳を伏せる、尻尾を股に挟むなど)を伴うことが多いです。
  • 痛み・不快感: どこかに痛みを感じている場合、その部位を守ろうとして全身が震えることがあります。例えば、お腹の調子が悪い時に「お腹が痛い」という訴えとして震えることもあります。特定の場所を触ると嫌がる、元気がない、食欲不振などの症状を伴う場合は注意が必要です。
  • 加齢: 老犬になると、筋肉量の減少や筋力の低下、関節の痛みなどから、安静時や立ち上がる際に震えることがあります。これは、老化現象の一つである場合が多いです。
  • 寝起き・夢: 寝起きに体がこわばって一時的に震えることや、夢を見ている最中にピクピクと体が動くこともあります。これは生理的なもので心配いりません。

2. 病気・健康問題による震え(注意が必要な震え)

震えが病気のサインである場合、他の症状を伴うことがほとんどです。以下の病気や健康問題が考えられます。

  • 低血糖: 食事の間隔が開きすぎた、あるいは糖尿病の犬でインスリンの投与量が多すぎた場合などに起こります。元気がない、ふらつき、意識障害などを伴うことがあります。特に子犬は低血糖になりやすいです。
  • 中毒: チョコレート、キシリトール、タバコ、人間用の医薬品、殺虫剤など、犬にとって有害なものを口にした場合、中毒症状として震えが現れることがあります。嘔吐、下痢、よだれ、痙攣、呼吸困難などを伴うことが多く、非常に危険です。
  • 腎不全・肝不全: 腎臓や肝臓の機能が低下すると、体内の毒素が排出されず、神経症状として震えが現れることがあります。食欲不振、嘔吐、多飲多尿などがみられます。
  • 脳や神経系の疾患:
    • てんかん: 脳の異常な電気信号によって引き起こされる発作の一つとして、全身の震えや痙攣が見られます。意識の喪失を伴うこともあります。
    • 脳炎・髄膜炎: 脳や脊髄の炎症によって、震え、麻痺、ふらつき、意識障害などの神経症状が現れます。
    • 椎間板ヘルニア: 首や腰の椎間板に問題が生じると、痛みや麻痺によって震えやふらつきが見られることがあります。特に、痛みからくる震えが顕著です。
    • 特発性震戦症候群(ホワイトシェイカー症候群など): 特定の犬種(マルチーズ、ウエストハイランドホワイトテリアなど)に多く見られる原因不明の全身の震えです。多くの場合、全身性ですが意識ははっきりしています。
  • 感染症: ジステンパーウイルス感染症など、特定のウイルス感染症では、神経症状として震えや痙攣が見られることがあります。
  • 電解質異常: 体内のミネラルバランスが崩れると、筋肉の異常収縮として震えが現れることがあります。
  • 炎症性疾患: 膵炎などの激しい痛みを伴う炎症性疾患の場合、その痛みから体が震えることがあります。
  • 痛み全般: 関節炎、歯周病、怪我など、体中に痛みを引き起こすあらゆる原因が震えにつながることがあります。

緊急性の判断と動物病院を受診すべきタイミング

犬の震えは、見極めが非常に重要です。以下の項目を参考に、緊急性を判断し、必要に応じて動物病院を受診しましょう。

「様子を見てもよい」可能性が高い震え

  • 特定の状況で毎回見られる(例:飼い主が帰宅時、散歩前など)。
  • 他の症状(元気がない、食欲不振、嘔吐、下痢など)を伴わない。
  • 原因となる刺激(寒さ、恐怖など)がなくなると震えが収まる。
  • 犬自身が苦しそうにしていない。

対処法: 原因となる刺激を取り除き、暖かくしたり、安心できる環境を提供したりして、しばらく様子を見ましょう。

「すぐに動物病院を受診すべき」震え

  • 震えが止まらない、または悪化している: 一過性ではなく、長時間続いたり、強くなったりする場合。
  • 他の症状を伴う:
    • 嘔吐や下痢、よだれが止まらない
    • 元気がない、ぐったりしている、ぐったりして動かない
    • 食欲不振、全く食べない
    • 呼吸が荒い、苦しそうにしている
    • ふらつき、歩行困難、立てない
    • 意識が混濁している、呼びかけに反応しない
    • 痙攣を伴う
    • 特定の場所を触ると痛がる、うなる
    • 異常な姿勢をとっている(背中を丸める、お腹を気にするなど)
    • 体温が異常に高い、または低い
    • 口から異物が見える、明らかに何かを誤飲した疑いがある
  • 急性の震え: 突然震え始めた場合で、明らかな原因(寒さ、恐怖など)が特定できない場合。
  • 子犬や老犬の震え: 体力が低い子犬や、持病を持つ老犬の震えは、急変するリスクがあるため特に注意が必要です。

対処法: 上記のいずれかの症状が見られる場合は、迷わずすぐに動物病院に連絡し、受診しましょう。電話で現在の状況(犬種、年齢、体重、震え方、伴う症状、震え始めた時間など)を具体的に伝え、指示を仰いでください。

動物病院での診断と処置

動物病院では、震えの原因を特定するために様々な検査が行われます。

診察の流れと検査

  • 問診: 飼い主から、いつから震えているか、どのような状況で震えるか、他にどのような症状があるかなどを詳しく聞かれます。誤飲の可能性なども聞かれるので、心当たりのあることは全て伝えましょう。
  • 身体検査: 体温、心拍数、呼吸数、粘膜の色、触診など、全身の状態をチェックします。
  • 血液検査: 貧血、炎症の有無、血糖値、腎臓・肝臓の機能、電解質バランスなどを調べ、全身の状態を把握します。
  • 尿検査・便検査: 必要に応じて行われます。
  • レントゲン検査・エコー検査: 異物の有無、内臓の異常、骨や関節の状態などを確認します。
  • 神経学的検査: 震えが神経系の問題によるものと疑われる場合、反射や姿勢反応などを確認します。
  • MRI・CT検査: 脳や脊髄に異常が疑われる場合など、より詳細な画像診断が必要な場合に実施されます。

治療法

震えの原因によって治療法は異なります。

  • 保温: 寒さが原因であれば、暖かくしてあげます。
  • 原因物質の除去: 中毒の場合、催吐処置、胃洗浄、点滴などが行われます。
  • 対症療法: 痛みがある場合は鎮痛剤、炎症がある場合は抗炎症剤などが処方されます。
  • 基礎疾患の治療: てんかん、腎不全、肝不全などの病気が原因であれば、それぞれの病気に合わせた薬物療法や食事療法が行われます。
  • 外科手術: 椎間板ヘルニアや異物による消化管閉塞など、手術が必要な場合もあります。

飼い主ができること:日頃のケアと予防

愛犬の震えに迅速かつ適切に対応するためには、日頃からの観察と環境整備が重要です。

1. 日常的な観察と記録

  • 愛犬の「いつも」を知る: 元気な時の行動、食欲、排泄、呼吸などをよく観察し、愛犬の「いつもの状態」を把握しておきましょう。異常があった際にすぐに気づけます。
  • 震えの記録: もし震えが見られたら、以下の点をメモしておくと、獣医に伝える際に役立ちます。
    • 震え始めた日時と持続時間
    • 震えの強さや範囲(全身か、特定の部分か)
    • どのような状況で震え始めたか(寝起き、食後、特定の音を聞いた後など)
    • 震え以外の症状(嘔吐、下痢、ふらつき、食欲の変化など)
    • 最近の食事や環境の変化
    • 服用している薬やサプリメントの有無

2. 快適で安全な環境作り

  • 適切な温度管理: 季節に合わせて室温を調整し、寒すぎない、暑すぎない環境を保ちましょう。特に冬場は防寒対策を。
  • ストレスの軽減: 雷や花火など、犬が怖がる音には、安心できる隠れ場所を提供したり、遮音対策をしたりしましょう。分離不安がある場合は、専門家と相談することも検討してください。
  • 誤飲・誤食の予防: 犬にとって有害なものは、手の届かない場所に保管する、ゴミ箱にはフタをするなど、徹底した管理を行いましょう。
  • 適度な運動と休息: 体力や年齢に合わせた運動をさせることで、ストレス解消や筋力維持につながります。十分な休息も重要です。
  • 定期的な健康チェック: 定期的に動物病院で健康診断を受け、潜在的な病気を早期発見できるようにしましょう。

3. 食事管理

  • バランスの取れた食事: 年齢や活動量に合った質の良いドッグフードを与えましょう。
  • 食事の間隔: 低血糖を防ぐために、食事の間隔が空きすぎないように注意しましょう。特に子犬は少量ずつ頻回に与えるのが理想です。

まとめ

犬の震えは、飼い主にとって非常に心配な症状ですが、その原因は多岐にわたります。単なる感情表現や生理現象であることもあれば、重大な病気のサインであることもあります。

大切なのは、日頃から愛犬の様子をよく観察し、「いつもの震え」と「いつもと違う震え」を見極めることです。他の症状を伴う場合や、震えが持続したり悪化したりする場合は、迷わずすぐに動物病院に連絡し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

この記事が、愛犬の震えに直面した飼い主さんの不安を少しでも軽減し、適切な行動を取るための一助となれば幸いです。