愛犬が喜びのあまり飛び跳ねたり、散歩中に他の犬に会って大興奮したり、来客時に吠え続けたり…犬の興奮は、時に可愛らしいものですが、度を超すと問題行動につながり、飼い主さんや周囲の人を困らせる原因にもなりかねません。
犬が興奮しやすいのはなぜでしょうか?それは、ストレス、運動不足、刺激不足、あるいは単に興奮すること自体が「ご褒美」になっている可能性も考えられます。愛犬が過剰な興奮状態に陥るのを防ぎ、穏やかに過ごせるように導くことは、犬自身の心身の健康にとっても、飼い主さんとのより良い関係を築く上でも非常に重要です。
この記事では、愛犬の興奮を効果的に落ち着かせ、穏やかな状態へと導くための具体的な方法を10に分けて詳しく解説します。今日から実践できるヒントが満載ですので、ぜひ愛犬との生活に取り入れてみてください。
犬が興奮する理由を知ろう
興奮を落ち着かせるためには、まずその原因を理解することが重要です。犬が興奮する主な理由には、以下のようなものが挙げられます。

- 喜び・期待: 飼い主の帰宅、食事の時間、散歩の前、遊びの開始など、犬にとって嬉しい出来事が起こる時に興奮します。
- 不安・恐怖・ストレス: 不慣れな環境、大きな音、雷、分離不安など、ストレスやネガティブな感情から過剰に興奮し、問題行動につながることもあります。
- 運動不足・刺激不足: 十分な運動や精神的な刺激が不足していると、有り余るエネルギーが興奮として表れることがあります。
- 社会性の欠如: 他の犬との適切な交流が不足していると、出会った際にどう振る舞っていいか分からず、興奮してしまうことがあります。
- 学習された行動: 過去に興奮した際に、飼い主が構ったり、おやつを与えたりすることで、「興奮すれば良いことがある」と学習してしまっている場合があります。
愛犬の興奮を落ち着かせる10の方法
1. 適切な運動と知的刺激を与える
有り余るエネルギーは興奮の大きな原因です。毎日の散歩はもちろん、犬種や年齢に合わせた十分な運動量を確保しましょう。また、体だけでなく、頭を使う遊びも重要です。
- 散歩: 毎日決まった時間に、十分な時間と距離を散歩させましょう。ただ歩くだけでなく、匂いを嗅がせる時間も大切です。
- 知育玩具: コングやパズル型のおもちゃなど、おやつを中に入れて犬が自分で考えて取り出す知育玩具は、脳を刺激し、精神的な満足感を与えます。
- ノーズワーク: 部屋におやつを隠し、犬に探させる「宝探しゲーム」は、嗅覚を使うことで集中力を高め、落ち着きを促します。
2. 興奮のサインを早期に察知し、介入する
犬が完全に興奮状態になる前に、その兆候を察知して落ち着かせることが重要です。
- サイン: 呼吸が速くなる、体が硬直する、耳が後ろに倒れる、尻尾がピンと立つ、小さな唸り声、過剰なペロペロ(舐める行為)など。
- 介入: これらのサインが見られたら、すぐに「待て」「お座り」などのコマンドで注意を引き、落ち着かせるように促しましょう。
3. 興奮している時に「構わない」
犬が飛びついてきたり、吠えたりして興奮している時に構ってしまうと、犬は「興奮すれば飼い主が構ってくれる」と学習してしまいます。これが「強化」されてしまうと、興奮癖がついてしまいます。
- 徹底した無視: 犬が興奮している間は、目を合わせず、声もかけず、触れずに完全に無視します。背中を向けたり、別の部屋に移動したりするのも効果的です。
- 落ち着いたら褒める: 犬が落ち着いて地面に足をつけたり、吠えるのをやめたりしたら、その瞬間に優しく声をかけ、撫でたりおやつを与えたりして褒めます。
4. 「お座り」「伏せ」「待て」を徹底する
これらの基本コマンドは、犬に自己コントロールを教える上で非常に有効です。特に興奮しやすい状況で、これらのコマンドができるように練習しましょう。

- 段階的に練習: 最初は静かな場所で完璧にできるようにし、徐々に散歩中や来客時など、興奮しやすい状況下でもできるように練習していきます。
- ご褒美: コマンドができた瞬間に「よし!」と褒めて、小さなおやつを与えましょう。
5. マッサージや優しい触れ合いでリラックスさせる
犬は体を撫でられることで安心感を覚えます。興奮している時に、優しく体を撫でてあげることで、リラックス効果が期待できます。
- 撫で方: 首の後ろから背中にかけて、ゆっくりと一定のリズムで撫でてあげましょう。犬が嫌がるような撫で方は避け、心地よいと感じる場所を見つけてください。
- 耳のマッサージ: 耳の付け根にはツボが多く、優しくマッサージしてあげることでリラックス効果があると言われています。
6. 興奮する状況への段階的な慣れ
特定の状況(例:来客、他の犬、散歩中の特定の場所)で興奮する場合は、その状況に段階的に慣れさせる「漸進的脱感作」という方法が有効です。
- 来客時: 最初は犬が興奮しない程度の遠い場所で来客の音を聞かせ、落ち着いていたら褒めます。徐々に距離を縮めたり、短時間だけ対面させたりして、常に落ち着いた状態を保てるように練習します。
- 他の犬: 他の犬との距離を保ち、犬が興奮しない範囲で視認させ、落ち着いていたら褒めます。徐々に距離を縮めていき、最終的には落ち着いて挨拶ができるように目指します。
7. 遊びのルールを決める
引っ張りっこやボール遊びなど、興奮しやすい遊びをする際は、興奮しすぎないためのルールを設けることが大切です。
- 開始と終了の合図: 遊びを始める前に「よし!」、やめる時に「終わり!」などの合図を決め、それに従わせる練習をしましょう。
- 「離せ」の練習: おもちゃをくわえて興奮している時に「離せ」のコマンドで放させ、できたら褒めてご褒美を与えます。
- クールダウン: 遊びの途中で犬が興奮しすぎたら、一時的に遊びを中断し、落ち着いてから再開しましょう。
8. 休息できる安全な場所を用意する
犬が安心して休める場所(ケージ、クレート、専用のベッドなど)を用意し、そこに入れば落ち着けるという習慣をつけさせましょう。
- 「ハウス」の練習: 「ハウス」のコマンドでその場所に行かせ、落ち着いていられたら褒めてご褒美を与えます。
- 避難場所: 来客時や騒がしい時に、犬が自らそこへ行って落ち着けるような場所として機能させましょう。
9. 落ち着いた声かけを意識する
飼い主さんの声のトーンは、犬の感情に大きく影響を与えます。興奮している犬に対しては、決して怒鳴ったり、甲高い声で叫んだりせず、低い落ち着いた声で話しかけましょう。
- 冷静に: 飼い主自身が冷静さを保つことが重要です。飼い主が興奮すると、犬もそれを察知してさらに興奮してしまいます。
- 優しい言葉: 「落ち着いて」「大丈夫」など、穏やかな言葉を選びましょう。
10. 専門家の力を借りることも検討する
上記の方法を試してもなかなか改善が見られない場合や、興奮が激しく手に負えないと感じる場合は、一人で悩まずにプロのドッグトレーナーや行動専門家(獣医行動診療科医など)に相談することも検討しましょう。

- 個別のアドバイス: 犬の性格や過去の経験、家庭環境などを考慮し、その犬に合った具体的なアドバイスやトレーニング方法を教えてくれます。
- 根本原因の解明: 興奮の原因が、分離不安やその他の行動疾患にある場合は、専門的な診断と治療が必要になることもあります。
まとめ:穏やかな愛犬との毎日を目指して
犬の興奮を落ち着かせることは、一朝一夕にできることではありません。しかし、適切な知識と根気強いトレーニング、そして何よりも愛犬への深い愛情を持って接することで、必ず改善へと導くことができます。
この記事でご紹介した10の方法を参考に、愛犬の様子をよく観察し、その子に合ったアプローチを見つけてあげてください。日々の小さな成功を積み重ねることで、愛犬は自己コントロールを学び、飼い主さんとの信頼関係も一層深まるでしょう。
穏やかで落ち着いた愛犬との生活は、飼い主さんにとっても大きな喜びをもたらしてくれます。今日から、愛犬との穏やかな毎日を目指して、ぜひこれらの方法を実践してみてください。



